利益が出ているのにお金が残らない7つの理由

決算書を見るとしっかり「利益」は出ているはずなのに、なぜか銀行口座の残高は増えていない……。
経営者であれば、一度はこのような冷や汗をかくような疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。

利益が出ているのに手元に現金がない状態が悪化すると、最悪の場合「黒字倒産」を引き起こしてしまうこともあります。

本記事では、初心者の方にも分かりやすく「利益と現金がズレる仕組み」と、「利益が出ているのにお金が残らない7つの理由」を解説します。
ぜひ、自社の状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。

なぜ「利益」と「現金」は一致しないのか?

結論から言うと、利益と現金の動きが一致しない理由は「利益の計算上のルール」と「実際のお金が動くタイミング」が違うからです。

損益計算書(PL)上の「利益」は、あくまで「その期間にどれだけの価値を生み出したか」を示す成績表です。

しかし、そこには「いつ現金が入ってきて、いつ現金が出ていったか」というタイムラグや、経費にはならないけれど現金は出ていくといった「現金の動き」が完全には反映されていません。

このズレを生み出す主な原因が、以下の7つの理由です。

利益が出ているのにお金が残らない7つの理由

1. 借入金の「元本返済」は経費にならないから

これが最も多く、かつ一番影響が大きい理由です。

銀行からお金を借りた場合、支払う「利息」は経費になりますが、「元本の返済」は経費になりません。

つまり、元本の返済は「利益の中から(正確には税金を払った後の利益から)」現金を減らして返さなければならないのです。年間の借入金返済額を考慮せずに計画を立ててしまうと、利益は出ているのに現金はどんどん無くなっていく事態に陥ります。

2. 「在庫」がお金を眠らせているから

商品を仕入れた時点では、まだそれは「経費」にはなりません。売れて初めて「原価(経費)」として利益の計算から引かれます。

もし、月末に仕入れた商品がまだ売れておらず在庫として残っている場合、損益計算書上の利益は減りませんが、仕入れ代金として「現金」はすでに支払っている(または支払う義務が生じている)ため、手元の現金はなくなります。

在庫は、形を変えた「眠っているお金」なのです。

3. 売上代金(売掛金)の回収が先延ばしになっているから

BtoBのビジネスで多いのが「ツケ払い(売掛金)」です。

「今月1,000万円売れた!」と利益が計算されても、その入金が「翌月末」や「翌々月末」であれば、手元に現金はありません。

売上が急激に伸びている時ほど、この「入金待ち」の金額が膨らみ、手元の資金がショートしやすくなります。

4. 支払いのタイミング(買掛金)が早すぎるから

上記の逆で、仕入れ先や外注先への支払いが早すぎるケースです。

売上の入金が「翌々月」なのに、支払いが「当月末」であれば、一時的に自分の会社の現金を持ち出して立て替えなければなりません。

利益が出ていても、この支払いサイクルが合っていないと常にお金がない状態になります。

5. 設備投資で一気に現金が出ていったから

機械や車、パソコンなどの高額な固定資産を購入した場合、現金はその時に一気に出ていきます。

しかし、会計上のルール(減価償却)により、その購入費用は数年に分けて少しずつ経費にしなければなりません。

「現金は1,000万円減ったのに、今年の経費になるのは200万円だけ」といった状態になり、利益と現金のズレを生み出します。

6. 予定外の「税金」の支払い

利益が出れば、当然それに伴って法人税や消費税などの支払いが発生します。

「利益が出たからといって、そのお金をすべて投資や昇給に使ってしまった」という場合、後からやってくる税金の支払いタイミングで現金が足りず、慌ててしまうことになります。

7. そもそも「粗利益」が足りていないから

「資金繰りが苦しい」と感じている場合、原因を突き詰めていくと、実は入金や支払いのズレではなく、そもそも稼ぎ出している「粗利益」そのものが根本的に足りていないケースが非常に多いです。

粗利益が不足しているのに、経費削減などの小手先の対応で乗り切ろうとしても、根本的な解決にはなりません。

会社は粗利益によって生きており、十分な粗利益がなければ現金を生み出すことは不可能です。

ではどうすればいい?「お金が残る会社」を作る逆算思考

ここまで見てきたように、「利益が出ているのにお金が残らない」のは、利益と現金の動きが異なる仕組みによるものです。

しかし、これらの原因を知るだけでは、根本的な解決にはつながりません。

大切なのは、「利益が出たらお金が残る」のではなく、「お金を残すために必要な利益を最初に決める」という発想へ切り替えることです。

つまり、経営計画は売上目標から考えるのではなく、「会社を守るために絶対に必要な利益」を出発点として逆算していく必要があります。

では、その「絶対必要利益」はどのように決め、どのように売上目標へ落とし込めばよいのでしょうか。

次の記事では、「売上目標は一番最後?『絶対必要利益』から考える新しい経営計画のセオリー」と題して、お金が残る会社をつくるための経営計画の考え方を具体的に解説します。